旅の快適性を左右するのは、船そのものよりも「港の付帯施設をいかに攻略するか」です。桃源台ターミナル周辺の利便施設には、意外と知られていない限界値が存在します。
真っ先に直面するのが手荷物の扱いです。大きなスーツケースを抱えたインバウンド旅行者が急増した結果、桃源台港のコインロッカーと荷物預かりのキャパシティは極めて逼迫しています。ターミナル内には小サイズから特大サイズまで数十箇所のロッカーが設置されているものの、正午前後にはほぼ全ての扉が「使用中」で埋まります。荷物を預けて周辺を散策しようと目論んでも、預け先が見つからず重い荷物を引きずりながら乗船せざるを得ない事態に陥るのです。大きな荷物がある場合は、箱根湯本駅で手荷物を宿泊先へ回送してくれる「箱根キャリーサービス」を事前に活用するのが確実な自衛策となります。
また、食事処としてターミナル内に鎮座する桃源台ビューレストランでのランチも、時間帯のマネジメントが不可欠です。芦ノ湖を臨むパノラマガラスが広がる絶好のロケーションで、名物のオムライスや御膳が味わえる人気店ですが、11時30分から13時30分の間は修学旅行生やツアー客の利用も重なり、入店待ちが30分以上発生します。海賊船の出航時刻に縛られる船旅において、レストランでの想定外の行列は致命的な旅程崩壊を招きます。昼食をここで取るなら、開店直後の11時に入店するか、あるいは船で元箱根港へ渡ってから湖畔の飲食店を開拓する二者択一の判断が求められます。
一方、公共交通機関でアプローチする場合の箱根海賊船の桃源台港アクセスバスは非常に優秀です。小田原駅や箱根湯本駅から運行される「箱根登山バス(路線T)」に加え、バスタ新宿から桃源台へ直通する「小田急ハイウェイバス」がターミナル正面にダイレクトに乗り入れています。登山電車やケーブルカーの乗り継ぎに疲れた復路などは、桃源台から高速バスで一気に都心へ帰還するルートも極めて有効な選択肢です。