室井佑月のキャリアは極めてドラマチックだ。レースクイーンやモデル、さらには高級クラブのホステスなどを経験した後に、小説家・エッセイストへと転身を遂げた。芸能界という欲望と視線が複雑に交錯する環境で揉まれた実体験は、彼女の執筆活動に嘘のない生々しさと圧倒的なリアリティをもたらすことになる。
身体を晒す表現から、言葉で社会を切り取る表現へ。一見すると対極にあるように思える二つの表現スタイルだが、その根底にある哲学は一貫している。自らの弱さも欲望も隠さず裸のまま晒し出し、社会の矛盾を突く。彼女が文壇やメディアで瞬く間に頭角を現した背景には、過酷な現場で培った冷徹なまでの自己観察眼があった。