芥川賞(正式名称:芥川龍之介賞)と直木賞(正式名称:直木三十五賞)の最も根本的な違いは、「純文学か大衆小説(エンターテインメント小説)か」、そして「新人作家の育成か中堅作家の実績評価か」という2点に集約されます。
芥川賞の選考基準は、主に文芸誌(『文學界』『新潮』『群像』『すばる』『文藝』など)に発表された無名、あるいは新進作家による短編・中編の純文学作品です。文章表現そのものの新しさや、人間の深層心理、時代の空気感を切り取る芸術的感性が極めて高く評価されます。
対する直木賞の選考基準は、単行本や商業誌で発表された中堅作家による大衆小説(ミステリー、時代小説、SF、恋愛、サスペンスなど)です。ストーリー展開の巧みさ、読者を引き込む娯楽性、そして「これまで積み上げてきた作家としての安定した実力」が総合的に問われます。かつては新人向けだった直木賞ですが、出版不況やエンタメ小説の多様化に伴い、現在では実力派中堅作家のキャリアを顕彰する性質を色濃く持っています。