インターネット上の掲示板やSNSでは、「カラスは血を連想する赤色を警戒する」「青色のバケツを置いたら来なくなった」といった体験談が散見されます。しかし、これらの噂も鳥類の生態生理学から見れば真っ赤な嘘であることが分かります。
むしろ、カラスにとって赤色は好物のありかを示すサインです。彼らは雑食性ですが、高カロリーな動物性タンパク質(肉類や魚の血合い)、熟した果実を優先的に探します。四色型色覚を持つカラスは、散乱したゴミの中からでも数ミリ単位の肉片やマヨネーズの付着した包装を瞬時に見極めるほどの驚異的な視覚解像度を誇ります。赤色を嫌うどころか、赤やピンクの包装紙、油分の多い食品残渣は真っ先に攻撃対象となります。
「青色や赤色のグッズを置いたらカラスが逃げた」という声の正体は、色に対する嫌悪ではなく、見慣れない物体が急に出現したことに対する新奇恐怖症(ネオフォビア)に過ぎません。警戒心の強いカラスは、縄張りに未知の異物が現れると一時的に距離を置きます。しかし、数日から1週間ほど観察を続け、危害が及ばないと理解した瞬間、その色を完全に無視してゴミを漁り始めます。