医療現場の風景を一変させた要素の一つが、急速に進むジェンダーバランスの変容である。かつて「白衣の天使」というステレオタイプで女性の独壇場と見なされていた看護職において、男性看護師の割合は全体の10%を突破し、20代〜30代の若手層に限れば15%近くに達している。
特に重症患者の搬送や体位変換など強靭なフィジカルが求められる救急救命センター、集中治療室(ICU)、精神科病棟、手術室では、男性看護師の需要が極めて高い。現場の管理職からは「感情的な対立が起きやすい閉鎖的なナースステーションに男性が加わることで、病棟全体の空気が中和され、心理的安全性が保たれる」という組織論的な評価も聞かれる。
一方で、かつて男性が過半数を占めていた診療放射線技師や臨床工学技士の領域では、女性の進出が目覚ましい。乳がん検診におけるマンモグラフィ撮影や、婦人科領域のエコー検査では女性技師を指定する受診者が圧倒的多数を占めるため、「女性放射線技師」の求人倍率は常に高止まりしている。体力を要する機器操作の自動化が進んだことも、性別の垣根を取り払う強力な追い風となっている。