事件の本質を理解するためには、まず生コンクリート業界の特殊な力学を知る必要があります。生コンは製造から打設までの時間に厳格な制限(通常1.5時間以内)がある「生もの」であり、出荷が止まれば建設現場全体がストップします。関生支部はこの特性を梃子(てこ)にして、中小生コン企業を結集させ、大手ゼネコンに対して価格交渉力を高める協組運動を展開してきました。
しかし、その活動形態は次第に先鋭化していきました。非加盟業者や組合の方針に従わない企業に対し、生コン出荷工場への立ち入り阻止、ミキサー車の運行妨害、建設現場前での抗議活動やビラ配りといった実力行使が日常化。滋賀県や大阪府、京都府の警察当局はこれを「労働運動を隠れ蓑にした恐喝・強要行為」と判断し、2017年末の出荷妨害を発端として、2018年以降に怒涛の強制捜査へと踏み切りました。
警察による家宅捜索経緯は徹底しており、組合事務所や関係先から膨大な証拠品を押収。長年にわたり組織を率いてきた武建一元執行委員長をはじめ、副委員長や現場幹部が強要未遂容疑や威力業務妨害容疑、恐喝容疑で次々と逮捕される事態となりました。逮捕者の延べ人数が80名を超えた背景には、単なる偶発的なトラブルではなく、組織的・継続的な威力業務妨害が行われていたと捜査機関が判断した決定的な理由があります。