「耳鳴りがキーッと鳴って聞こえづらくなったが、数分で治まったから平気」と考えるのは非常に危険です。耳鳴り突然治まるという現象の裏には、内耳の有毛細胞が局所的な虚血に陥り、一時的に過剰興奮したのちに活動を停止したケースが含まれるからです。
特に注視すべきは、突発性難聴初期症状との識別です。突発性難聴は、何月何日何時何分というレベルで「突然」発症するのが最大の特徴ですが、発症直後に軽度の耳閉感や耳鳴りだけを感じ、本格的な聴力脱落までに数時間のタイムラグが存在する場合があります。初期の違和感が一時的に引いたように感じられても、内部では細胞変性が進行しているケースが少なくありません。
さらに、メニエール病前兆としての耳閉感も見逃せません。内リンパ腔に水が溜まる初期段階では、めまいを伴わずに片耳の低音だけが聞こえにくくなり、水圧が下がると元の正常な状態に戻ります。この「可逆的な段階」で適切な利尿薬投与や生活改善を行わないと、やがて激しい回転性めまいを伴う本格発作へと進展し、聴力を元に戻すことが極めて困難になります。