人権作文の審査現場において、審査員は何百編、何千編もの作品に目を通します。その中で「人権とは、人間が人間らしく生きる権利である」といった辞書的な引用や、「私は人権について考えた」という凡庸な書き出しから始まる作品は、どうしてもその他大勢の中に埋没してしまいます。
全国中学生人権作文コンテストをはじめとする各種コンクールで上位入賞を果たす作品を分析すると、導入部分で「書き手の息遣い」や「現場の空気感」が鮮明に立ち上がってくるという明確な特徴があります。審査員が最初に求めるのは、綺麗に整えられた一般論ではなく、書き手本人のフィルターを通したリアルな感情や問題意識です。冒頭の数行で「この先を読みたい」と思わせるフックを作ることが、評価を分ける最大の境界線となります。