フィールド種目の歓喜と並び、トラック種目でも従来の日本陸上の常識を打ち破る記録と順位が刻まれました。その筆頭が、男子100mのサニブラウン・アブデル・ハキームです。準決勝で自己ベストタイとなる10秒07をマークして着順で決勝へ駒を進めると、迎えた決勝では世界最高峰のスプリンターたちと互角に競り合い、10秒04で世界6位入賞を果たしました。2022年オレゴン大会の7位に続く2大会連続ファイナル進出は、もはや「番狂わせ」ではなく、世界屈指のスプリンターとしての実力を証明する結果となりました。
中長距離では、田中希実がブダペストのトラックに強烈な爪痕を残しました。女子5000m予選において、従来の自己記録を大幅に更新する14分37秒98の日本新記録を樹立。世界のハイペースに怯むことなく先頭集団に食らいつく走りは海外メディアからも絶賛され、決勝でも14分58秒99の粘走で見事に8位入賞を果たしました。同種目における日本勢の入賞は、1997年アテネ大会の弘山晴美以来、実に26年ぶりの歴史的快挙です。
さらに男子3000m障害では、順天堂大学出身の三浦龍司が魅せました。世界のトップ選手が揺さぶりをかけるハイペースの中、巧みなハードリングと冷静な位置取りを崩さず、8分13秒70で6位入賞。五輪・世界陸上を通じて同種目日本男子初となる入賞を果たし、ケニアやエチオピア勢の牙城を崩す足がかりを築きました。
日本のお家芸である男子4×100mリレー(坂井隆一郎、栁田大輝、小池祐貴、サニブラウン・アブデル・ハキーム)は、各国のバトンパス精度が劇的に向上する中、37秒83で5位入賞。メダルには届かなかったものの、世界トップレベルの決勝で確実に上位を確保する安定感を示しました。