埼玉県深谷市東方。利根川がもたらす肥沃な土壌に恵まれたこの地で、本木家は江戸時代から続く豪農として名を馳せてきた。屋号の「角甚」は地域でも誰もが知る名家であり、敷地面積は広大そのもの。伝統的な長屋門をくぐると、丹精込めて手入れされた日本庭園と、長い歳月を刻んだ重厚な木造建築が目を引く。
農家の三男として生まれた本木は、幼少期から広大な敷地を駆け回り、季節の移ろいや土の匂いを身体全体で吸収して育った。近隣住民の証言によれば、本木家は単なる農家にとどまらず、地域社会の世話役としても深い信頼を寄せられていたという。代々受け継がれてきた「ものを慈しみ、筋を通す」という家訓は、現在の彼のストイックな役作りや人間性の根幹にしっかりと受け継がれている。