動物病院やドッグランで起きる咬傷事故の原因を調査すると、その大半が「しっぽを振っていたから撫でようとした」という誤認に起因しています。しっぽの動きは「興奮の強さ」を示すメーターであって、興奮の中身が「喜び」なのか「攻撃的な緊張」なのかは別問題です。
本物の喜びと威嚇を見分ける決定打は、しっぽの先端の振幅と全身の筋肉の緊張度にあります。
喜んでいる犬は、しっぽだけでなく腰から背中全体が波打つように柔らかく揺れ、表情も緩んでいます。これに対し、威嚇や警戒モードの犬は、背筋としっぽの根元がピンと張り詰めた状態のまま、先端だけがメトロノームのように硬く高速で左右に振動します。このとき犬は「これ以上近づいたら攻撃する」という最終警告を発しており、非常に危険な精神状態です。
「振っているから大丈夫」という安易な思い込みを捨て、しっぽ全体の柔軟性と首回りの筋肉の強張りに着目することが不可欠です。