爆音で歪められているテーマ曲だが、その原曲にはイギリスの極めて高度な音楽的試行錯誤が詰まっている。もともと『きかんしゃトーマス』は、牧師ウィルバート・オードリーが病床の息子に語り聞かせた童話『汽車のえほん』が原点だ。蒸気機関車たちの社会性や責任感を描いた心温まる物語である。
1980年代にTVアニメ化された際、あの象徴的なテーマ曲を手掛けたのが作曲家のマイク・オドネルだ。彼はアナログシンセサイザーやブラス音源を巧みに組み合わせ、ブラスバンドの行進曲を現代的かつ軽快にアレンジしてみせた。綿密に計算されたメロディラインと躍動感あるリズムがあったからこそ、現代のクリエイターたちがいくら音を歪ませても、原曲のコード進行とメロディの魅力が破綻せずに残り続けていると言える。