『ドクターX』が提示した高額請求書は、現行の日本の診療報酬制度においてはあり得ないフィクションだ。しかし、この突飛な設定こそが、視聴者のストレスを解消する強力なフックとなった。権力闘争に明け暮れ、保身と面子ばかりを気にする病院幹部たちに対し、絶対的な技術と実績だけで真正面から正当な対価を要求する姿は、視聴者に強い解放感を与えた。
医学界の保守的な体質や、組織の論理に流される医師たちの姿を痛烈に風刺しつつも、エンターテインメントとしての爽快感を決して失わない。この絶妙なバランス感覚こそが、テレビ朝日が誇る看板シリーズとして長年愛され続けた根底にある。