岩崎う大の才能は、舞台演劇の枠組みを越えて映像やコミックの世界へも広がっています。テレビドラマの脚本執筆においては、深夜ドラマやオムニバス作品を中心に、不条理でありながら妙に生々しい人間模様を描き出し、視聴者を釘付けにしました。従来のドラマが避けて通るような「会話の気まずい沈黙」や「自己保身から生まれる些細な嘘」を巧みに組み込む脚本術は、映像業界のプロデューサー陣からも高い評価を獲得しています。
さらに注目すべきは、ヤンマガWeb等で話題を呼んだオリジナル漫画『マイホーム マイホーム』です。一見すると平穏なマイホーム購入や家族生活を巡る物語でありながら、読み進めるうちに登場人物たちの歪んだ執着や世間体への執念、心理的プレッシャーが浮き彫りになるサイコ&ブラックコメディに仕上がっています。
家族社会学の観点から見ても、本作は日本社会に根深く存在する「持ち家信仰」や「理想の家族像への強迫観念」に対する痛烈な風刺劇として成立しています。登場人物たちが互いに「健全な境界線(心理的バウンダリー)」を保てず、共依存と見栄に蝕まれていく様をユーモアを交えて描く手腕は、まさにう大独自の世界観の真骨頂です。