読者の誰もが息をのんだのが、耀哉の顔の上半分を覆う紫色にただれた皮膚と、失われた視力です。ネット上では「感染症ではないか」「鬼の毒を受けた傷跡か」といった憶測も飛び交いましたが、産屋敷耀哉の病気の理由は医学的な疾患ではなく、一族の血脈そのものに刻まれた呪いの正体にありました。
公式ファンブックや作中の描写によると、今から千年前の平安時代、産屋敷一族と同じ血筋から「最初の鬼」である鬼舞辻無惨が生まれました。神仏の理を乱す怪物を世に放ってしまった報いとして、産屋敷一族の血筋には神仏からの強烈な天罰が下ることになります。それが「生まれてくる子供たちがことごとく病弱ですぐに命を落とす」という現象でした。
一族が神職に助言を求めたところ、「同じ血筋から鬼が出たためである。鬼を倒すために心血を注ぎなさい」という託宣を受けます。それ以来、代々の当主は神職の一族から妻を迎えることで血を繋いできましたが、それでも産屋敷一族の短命の理由を根本から払拭することはできず、歴代の男子は誰一人として30歳前後を超えて生き延びることができませんでした。
つまり、お館様と無惨の関係は「千年前を遡れば同じ一族の血を分けた同族」という決定的な因縁で結ばれていたのです。耀哉を蝕んでいた病は、歳を重ねるごとに額から顔全体、そして内臓へと広がり、最後には全身の自由と視力を奪っていった呪いの侵食そのものでした。