連載当時からSNSやコミュニティ掲示板で巻き起こったのが、「雉弓射がとにかくかっこいい」という読者の熱狂的な声でした。歴代の『弱虫ペダル』には御堂筋翔や巻島裕介のようにアクの強い強烈な個性派が多い中、雉弓射は端正で物静か、かつ内面に揺るぎない矜持を秘めた「王道のカリスマ」として描かれています。
彼のかっこよさを決定づけているのが、最大のライバルである吉丸雷音(よしまる らいおん)との関係性です。吉丸は千葉県出身の荒々しく情熱的なライダーで、長年雉の背中を追い続けてきました。泥臭く感情をむき出しにして挑みかかる吉丸に対し、雉は敬意を払いながらも冷徹なまでの走りで迎え撃ちます。この2人のコントラストが、競技漫画としての緊張感を極限まで高めています。
さらに、読者の胸を打つのが数々の名言です。坂道に向けて放った「山は全部受け入れてくれる」「自転車はどこへ行っても自由だ」という言葉は、ロードレースの激しい勝敗争いに疲弊していた読者の心にも深く染み渡りました。勝負への執着を超越し、自然へのリスペクトとライディングへの純粋な愛を語る彼の言葉遣いこそが、読者を虜にする最大の要因です。