「本当に野生のクジラに会えるのか」という不安を抱く方も少なくありません。しかし、現在の奄美大島におけるウォッチング船は、長年の経験を持つ熟練船長同士が無線やネットワークでリアルタイムに位置情報を共有する強固な連携体制を築いています。出港後、わずか20〜30分で巨大な影を捉えるケースも珍しくありません。
主なウォッチング海域は、島の北東部に広がる笠利町沖、東シナ海側に位置する名瀬沖、そして南部の加計呂麻島と本島を隔てる大島海峡周辺です。特に大島海峡は周囲を高山に囲まれているため波が立ちにくく、外海が荒れている日でも母子クジラが避難してくる絶好のシェルターとなっています。
体長約13〜15メートル、体重30トンを超える巨体が繰り出すブリーチング(ジャンプ)や、尾びれを海面に叩きつけるペダンクルスラップは、船上に心地よい水しぶきと歓声を巻き起こします。海中マイク(ハイドロフォン)を海に垂らし、オスがメスへ愛を伝える「クジラのソング」をリアルタイムで聴取する演出を行うガイド船も多く、五感すべてで自然の鼓動を体感できます。