ネット上のQ&A掲示板やSNSの溶接コミュニティでは、「オーバーラップは余盛が高いだけだから削らなくても実用上問題ない」「肉厚が増しているからむしろ頑丈だ」といった極めて危険な誤解が散見されます。しかし、現代の接合工学において、このような「余盛神話」は完全に否定されています。
過剰な余盛は、材料コストの無駄であるばかりか、構造物にとっては有害な重量増加と応力集中源でしかありません。構造強度上、最も理想的なビードは、母材表面に対して平ら、あるいはごくわずかな余盛を持ち、止端部が極めてなだらかに母材へ溶け込んでいる状態です。
また、「グラインダーで削って平らにすると強度が下がる」というのも初学者が抱きがちな錯覚です。母材と一体化していない金属部分はそもそも荷重を負担していません。不要な未結合金属を取り除き、応力集中を緩和する研磨こそが、部材の疲労寿命を飛躍的に向上させる正当な処置なのです。