物語の全貌を理解する上で欠かせないのが、複雑に絡み合う人間関係と息詰まるサスペンスの構造です。前半の退廃的なムードから一転、後半は破滅へと加速していく疾走感が特徴となっています。
【起:運命の邂逅】
1920年代初頭のモロッコ・マラケシュ。異国情緒と危険な香りが漂うカフェやカジノで、リュドヴィークは刹那的な生を浪費していました。ある夜、彼は街の雑踏で暴漢に襲われそうになっていたセシルを救い出します。彼女の瞳に宿る深い哀しみを見た瞬間、リュドヴィークの凍りついていた心が激しく揺れ動きます。
【承:燃え上がる禁断の愛と陰謀】
夫の愛人問題や政略結婚の重圧に押しつぶされそうだったセシルは、粗野でありながら誰よりも純粋な魂を持つリュドヴィークに惹かれていきます。二人は逢瀬を重ね、街を脱出して新たな人生を歩むことを誓い合います。しかし、リュドヴィークのかつての戦友や現地の独立運動組織、そしてセシルの夫の策略が複雑に交錯し、二人の逃亡計画は筒抜けとなっていました。
【転:裏切りと追撃の銃声】
信じていた仲間からの裏切りに遭い、追っ手に包囲されるリュドヴィーク。彼は負傷しながらもセシルを連れてマラケシュの旧市街を駆け抜けます。もはやパリへ戻ることも、平穏な未来を手に入れることも不可能であると悟った二人は、夕暮れに染まる砂漠の果てへと向かいます。
【結:紅の墓標と永遠の誓い】
鳴り響く銃声の中、リュドヴィークはセシルを抱き寄せ、最後の瞬間を迎えます。誰の手にも自分たちの愛を汚させないという究極の決断のもと、二人は互いの腕の中で息絶えます。紅く染まる夕日と砂塵が二人を包み込み、まるで広大な砂漠そのものが二人の「紅の墓標」となる圧巻のエンディングを迎えました。