黄金期を誇ったフジテレビのドラマ制作が、一時「深刻な不振」と揶揄された時期があったことは紛れもない事実です。2010年代半ばから後半にかけて、フジテレビドラマが低迷と囁かれた理由の根本には、過去の成功体験への固執がありました。かつてのトレンディドラマの手法や、大物クリエイター・人気タレントの記号性に依存しすぎた結果、スマートフォンの普及によって激変した視聴者の感性と乖離が生じていたのです。
しかし、近年のフジテレビドラマへの評判やネットの反応を見れば、その評価は大きく塗り替えられつつあります。転換点となったのは、世帯視聴率の獲得のみを目的としたステレオタイプな企画を排し、個人の深い感情の機微を丁寧にすくい取る作品づくりへと舵を切ったことです。ネット上の辛口なレビューサイトでも「脚本の構成力が格段に上がった」「安易なハッピーエンドに逃げない誠実さがある」といった好意的な論調が主流を占めるようになり、クリエイター主導の良質なものづくりが実を結び始めています。