ロシア人体実験の闇と睡眠実験の真相|旧ソ連極秘研究の実態を追う

ロシア人体実験の闇と睡眠実験の真相|旧ソ連極秘研究の実態を追う

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旧ソ連の科学・軍事エリートたちが推進した生体兵器研究の狂気は、一般市民をも巻き込む大規模な惨劇を引き起こしました。その象徴が、1979年に発生した「スヴェルドロフスク炭疽菌流出事件」です。

ウラル山脈東側の工業都市スヴェルドロフスク(現在のエカテリンブルク)にあった軍事施設「第19研究所」では、旧ソ連科学アカデミーや軍の管轄下にあった極秘組織「バイオプレパラート(Biopreparat)」が、兵器用炭疽菌の大規模な培養を行っていました。

1979年4月2日、作業員のフィルター交換不備という単純な人為的ミスにより、乾燥粉末状の炭疽菌胞子が風に乗って施設外へ漏洩。風下にいた住民や工場労働者が次々と原因不明の高熱と呼吸困難に倒れ、少なくとも64名以上の尊い命が失われました。ソ連当局はこの事実を徹底的に隠蔽し、「汚染された食肉を食べたことによる自然発生的な食中毒」と虚偽の発表を行いました。

真相が公に認められたのはソ連崩壊後の1992年、ボリス・エリツィン大統領による公式認可と、バイオプレパラートの第一副所長を務めていたカナトジャン・アリベコフ(偽名:ケン・アリベック)氏のアメリカ亡命・告発によるものでした。国家が主導する生物兵器実験と安全管理の欠如が生んだ、史上最悪の生物兵器事故として現代の軍事史に刻まれています。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。