最高裁で上告が棄却され、死刑が確定したのが2009年4月。確定から15年以上が経過した現在も、死刑執行 なぜされないのかという疑問は世論の間で根強く燻り続けています。日本の刑事訴訟法第475条では「判決確定から6か月以内に法務大臣が執行を命令しなければならない」と訓示規定が定められているものの、実際にはこれが厳密に順守されるケースは稀です。
執行が留保されている最大の法的原因は、弁護団による再審請求が継続中である点にあります。法務省の運用基準として、再審請求を行っている死刑確定者に対する刑の執行は、誤判・冤罪による不可逆的な人命侵害を回避するため、極めて慎重にならざるを得ません。特に本件は、直接的な犯行証拠や被告人の自白が一切存在しない「状況証拠のみの死刑確定事件」という極めて異例の経緯をたどっています。
もし仮に死刑を執行した後に科学鑑定の瑕疵や新証拠によって冤罪の可能性が明白となった場合、日本の刑事司法制度そのものの信頼性が根底から覆ることになります。法務当局にとっても、社会的な注目度が極めて高く、科学的証拠の信憑性が争われている林真須美死刑囚の執行命令書に署名することは、致命的な司法リスクを伴う決断となっているのが実情です。