旅費の節約やユニークな移動手段を模索するなかで、「東京からソウルまで船(フェリー)で行けないのか」という疑問を抱く人が散見されます。かつて存在した国際航路のイメージや、長距離フェリーの安価なイメージが先行しているためですが、結論から言えば現代の交通体系において東京〜ソウルのフェリー移動は実用的な選択肢になり得ません。
東京港から韓国へ直接向かう定期旅客フェリーは現在運航されていません。船を利用してソウルへ向かう場合、以下のルートを辿る必要があります。
- 東京駅から東海道・山陽新幹線で博多駅へ(約5時間 / 片道約23,000円)
- 博多港国際ターミナルから釜山港へフェリー「ニューかめりあ」または高速船「クイーンビートル」で移動(約3時間40分〜11時間 / 片道約10,000円〜16,000円)
- 釜山駅から韓国高速鉄道(KTX)でソウル駅へ移動(約2時間40分 / 片道約6,000円)
この乗り継ぎルートを実行した場合、片道の移動時間だけで約15時間〜20時間以上、交通費は片道だけで約40,000円〜45,000円に達します。成田〜仁川の往復フライト代を片道移動だけで上回ってしまう計算です。船旅そのものを旅の目的とするシニア層や鉄道・船舶愛好家でない限り、移動コスト・所要時間の双方において選ぶ理由は皆無と言えます。
もう一つのネット上の盲点は、金浦空港と仁川空港の「入国審査混雑度」の差異です。仁川空港は世界最高峰のハブ空港である反面、東南アジアや欧米からの大型機が集中する時間帯(11:00〜14:00、17:00〜19:00)に入国ゲートへ向かうと、審査待ちの行列だけで40分〜1時間以上を要することが常態化しています。一方の金浦空港は発着便数が制限されているため、到着から手荷物受け取り、空港出口までの動線が非常に短く、最短15分〜20分で制限エリア外に出られるケースが大半です。フライト時間自体は20分程度の差ですが、現地の地上時間を含めたスピード感には数字以上の乖離が存在します。