「団長の手刀を見逃さなかった人」がネット上で伝説となった最大の理由は、自信に満ち溢れたプロの風格から、わずか数ページ後に訪れる圧倒的な絶望と死亡シーンの残酷さとの凄まじい落差にあります。
監視室でクロロの凄技を見切った彼は、自らクロロを仕留めて名を上げようと単身でオークション会場の別室へと向かいます。薄暗い部屋のソファーに腰掛けるクロロと対峙した際、彼は悠然と間合いを詰め、獲物を追い詰めた暗殺者としての貫禄を漂わせていました。
しかし、相手は世界最凶の盗賊集団を束ねる底知れぬ怪物でした。戦闘の描写すら省略されるほどの圧倒的な実力差によって一瞬で無力化された彼は、クロロが発動した念能力「密室遊魚(インドアフィッシュ)」の実験台にされてしまいます。
締め切られた密室でのみ生息できる念の魚に全身の肉を生きたまま削り取られながらも、能力の制約によって「血も出ず、痛みも感じず、死ぬことすら許されない」という異様な状態に置かれた殺し屋。クロロの冷徹な問いかけに対して、自らの身体が損壊している事実を認識しながら放った台詞がこちらです。
「これ以上 窓を開けると… オレは死ぬ…!!」
窓が開け放たれて密室が解除された瞬間、能力の効力が切れて一気に絶命を迎えるという結末は、当時の読者に凄まじいトラウマと衝撃を与えました。「手刀を見逃さなかった」という最高峰の動体視力を披露した直後に、手も足も出ず異様な死を遂げる展開は、少年ジャンプ史上に残る「完璧な死亡フラグの回収劇」として語り継がれることになります。