整形外科の臨床において大腿骨近位部骨折の分類法を学ぶ際、誰もが最初に直面するのが「Garden(ガーデン)分類」と「Moore(ムーア)分類」の違いです。大腿骨頸部骨折の評価において、Garden分類はX線正面像における骨梁の連続性と骨折片の転位の程度をステージIからIVの4段階で評価します。これに対し、ムーアの分類は骨折線の傾斜角度に主眼を置いた力学的な分類基準です。
具体的には、水平面に対する骨折線の角度が急峻であるほど、歩行時や荷重時に骨折部へ強力な垂直方向の剪断力(ズレる力)が加わります。この力学的負荷が骨癒合を阻害し、骨頭壊死や偽関節を引き起こす決定打となるため、角度の深さに応じて安定型と不安定型を厳密に区別するのがムーア分類の真髄です。現場の医師がX線フィルムやCTスキャンを前に「Garden分類上は非転位に見えるが、ムーア分類で見ると非常に危険な角度だ」と判断するのはまさにこのためです。