ネット上で「帰りの飛行機の予約しとけよ」という言葉が飛び交う最大の震源地は、大手掲示板「あにまん掲示板」や5ちゃんねるなどの二次元コミュニティです。スレッドを覗くと、「スラムダンクで今でも鮮明に覚えているシーン」「三大名言のひとつ」といった文脈で、温厚な副主将・木暮公延(メガネ君)が相手校の挑発に対して冷酷に言い放った台詞として面白おかしく紹介されています。
しかし、原作コミックスをどれほど探しても、木暮がそのような台詞を口にする場面は存在しません。結論から言えば、このフレーズの真の元ネタは、ジャンプ・コミックス23巻に収録されている第199話「緒戦前夜」において、ポイントガードの宮城リョータが大阪代表・豊玉高校のエースたちに対して放った「おい、切符買っとけよ。明日帰るんだろ?」という名台詞です。
作中の舞台は広島で開催された夏のインターハイであり、湘北高校のメンバーは新幹線で現地入りしています。そのため、新幹線内で豊玉の岸本らと小ぜり合いになった際、リョータが「(新幹線の)切符買っとけよ」と言い放つのが物語の正しい描写です。それがいつの間にかネット上で、「なぜか新幹線移動なのに飛行機の予約を勧める」「普段温厚な木暮がドスを利かせて言い放つ」というシュールな改変ネタとして定着し、一種のマンデラ効果(集合的な記憶違い)を引き起こしながらバイラルしていったというのが、ミームとしての真相です。