歴史を振り返ると、かつてオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーらが報告した一連の臨床観察は、独立した「アスペルガー症候群」として長く分類されてきた。しかし、医学の進歩とともに境界線は再定義され、現在の国際的な診断基準ではより包括的な「スペクトラム(連続体)」として位置づけられている。
世界保健機関 (WHOが策定する国際疾病分類(ICD-11)や、アメリカ精神医学会のDSM-5においても、カテゴリカルな分類からディメンショナル(尺度的)なアプローチへの転換が強調されている。環境と個体の遺伝的素因がどう重なり合い、社会生活上の困難に結びついているかを客観的に評価することが、診断の真の目的となっている。