片岡孝太郎が背負う看板の重みを理解するには、名門・片岡家の系譜を知る必要があります。松嶋屋は上方歌舞伎の屋号として江戸時代から続く屈指の名家です。
祖父は「昭和の上方歌舞伎の至宝」と称された十三代目片岡仁左衛門。父は端正な容姿と圧倒的な演技力で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されている十五代目片岡仁左衛門です。孝太郎自身は1968年1月23日生まれで、姉には女優の片岡サチ、妹には元宝塚歌劇団で女優の片岡京子がいる芸術一家に育ちました。
仁左衛門の唯一の男子として生まれた孝太郎は、幼い頃から家名を継ぐ宿命を背負ってきました。その重責を一身に引き受け、女方としての上品な色気と立役としての存在感を磨き上げてきた経歴があるからこそ、私生活の激動期にあっても舞台の質を落とすことはありませんでした。