かつてモデル級のスタイルを誇っていた彼が、現在のような親しみやすいフォルムへと変貌を遂げたプロセスには、知られざる過酷な下積み時代が深く関係しています。世間が抱く「なぜそこまで太ったのか」という疑問に対し、彼自身がバラエティ番組や手記で語った小手伸也の激変理由と体重増加の真相は、極めて泥臭く、人間味に満ちたものでした。
最大の要因となったのは、長年にわたる不規則な生活習慣です。劇団を主宰し舞台俳優として高い評価を得ていたものの、舞台の収入だけで生計を立てることは困難を極めました。そこで生活を支えるために選んだのが、小手伸也の下積み時代を象徴するコールセンターのアルバイトでした。彼は40代半ばでブレイクを果たす直前まで、大手通信会社の通販窓口などでオペレーター業務に従事していたことで知られています。
舞台の稽古や本番を日中に行い、深夜から朝方にかけてコールセンターで電話を受け続けるという二重生活は、必然的に食生活の荒廃と睡眠不足をもたらしました。深夜勤務の合間に流し込むカップ麺や高カロリーなジャンクフード、ストレスを紛らわせるための暴飲暴食が常態化し、小手伸也の痩せていた頃の面影は徐々に変化。20代の頃に60kg台前半だった体重は、年を追うごとに増え続け、最盛期には90kgを超えるまでに到達しました。
しかし、この肉体的な変貌は単なる不摂生の産物にとどまりませんでした。美男子の枠にとどまっていては、星の数ほどいる若手俳優の中に埋没してしまうという危機感を抱いていた彼は、恰幅の良さと彫りの深い顔立ちがもたらす「独特の胡散臭さ」「強烈なアクの強さ」を、俳優としての武器として再定義していったのです。