カフスボタンは大人の嗜みである一方、身につける場を誤ると「常識を疑われる」リスクを孕んでいます。冠婚葬祭およびビジネスシーンにおける厳格なドレスコードを整理しました。
結婚式・披露宴での装い
結婚式や格式あるパーティーは、カフスボタンが最も真価を発揮する場所です。日中の慶事であれば、光沢が控えめで気品のある白蝶貝(マザーオブパール)やシルバーを基調としたデザインが正統とされます。夕方から夜にかけてのパーティーであれば、照明に美しく映えるゴールド台座やオニキス、あるいはカットの施された輝く石(クリスタルやジルコニア)を合わせた華やかな装いが適しています。
新郎や主賓はもちろんのこと、一般のゲストであってもダブルカフスのシャツに上質なカフリンクスを合わせることで、新郎新婦に対する敬意と祝福の意思を表現できます。
ビジネスシーンでの許容ライン
日常のビジネスウェアに導入する場合、業界や職種に応じた配慮が求められます。金融機関や公務員、厳格な法曹関係などの堅い職場では、過度な自己主張は避け、15mm前後の小ぶりなシルバー製スクエア(四角)やラウンド(円形)のシンプルな彫刻デザインを選ぶのが鉄則です。時計のメタルバンドやベルトのバックルと金具の色(シルバーならシルバー)を統一すると、手元に統一感が生まれ知的な印象を与えます。
IT企業やクリエイティブ職、アパレル関係など、ドレスコードが比較的自由な環境であれば、シルクノットや落ち着いたエナメルカラーを取り入れた遊び心のあるアイテムも有効な自己演出となります。
お葬式・法事での絶対的マナー
冠婚葬祭の中でも、「お葬式や告別式においてカフスボタンは原則として着用しない」のが日本の現代マナーにおける共通認識です。慶事とは異なり、弔事では装飾性を極限まで削ぎ落とすことが故人への哀悼を示す作法となるためです。
正礼装(モーニングコート)を着用する喪主などの立場においてのみ、光沢のない漆黒の石である「ジェット」や「オニキス」で、台座の金属が極力目立たない黒枠のカフスボタンを着用することが正式に認められています。しかし、参列者として略礼服(ブラックスーツ)を着用する場合は、カフスボタン自体を外して通常のボタン留めシャツを着用するのが最も安全で間違いのない選択です。