コスト面でのデメリットがあるにもかかわらず、なぜメーカーはこの機能を残し続けているのか。それは、特定の条件において注水すすぎが不可欠な役割を果たすからだ。
第一に、赤ちゃんの衣類やアトピー性皮膚炎・敏感肌の家族がいる家庭だ。衣類に微量に残った合成洗剤の界面活性剤や蛍光増白剤は、汗や皮脂と反応して皮膚刺激を引き起こす原因になり得る。注水すすぎによる徹底的な希釈は、肌トラブルの予防に直結する。
第二に、泥汚れのひどいユニフォームや運動着、毛足の長い厚手タオルの洗濯である。繊維の奥深くに泥や汗成分が抱え込まれている場合、ためすすぎの水だけでは汚れが飽和状態に達し、すすぎ残しが生じやすい。
第三は、洗剤の投入量を誤って多めに入れてしまった場合や、粉末洗剤が溶け残りがちな冬場の洗濯だ。過剰な泡はためすすぎだけでは消えきらず、注水による水面の押し流しが威力を発揮する。
そして第四に、黒や紺などの濃色衣料に白いスジ(洗剤や糸くずの付着)が目立つケースだ。仕上がりの美しさを優先したい大切な衣類の洗濯には、注水設定が特効薬となる。