現在でこそ主役の座にある月見団子ですが、米が貴重だった時代、中秋の名月における主たる供物は「里芋」でした。中秋の名月が別名「芋名月(いもめいげつ)」と呼ばれるのはこのためです。旧暦の8月15日前後はちょうど里芋の収穫期にあたり、大地の恵みに感謝する儀礼として里芋を蒸して神棚や月前に供えていました。
特に小芋を皮ごと蒸して端をつるりと剥いて食べる「きぬかつぎ」は、白く滑らかな肌が月光に例えられ、秋の祝膳に欠かせない一品でした。関西地方を中心に親しまれている月見団子が、一般的な丸型ではなく「里芋の形を模して餡を巻いた形状」をしているのも、この芋名月の名残です。