家庭で白玉粉や上新粉を使って団子を作ると、半日も経たないうちに水分が抜け、芯が残ったように硬くなってしまいます。これは米に含まれるデンプンが冷えることで規則的な結晶構造に戻る「デンプンの老化(β化)」という自然現象です。
では、なぜヤマザキのみたらし団子は時間が経っても柔らかな弾力を維持できるのでしょうか。その背景には、山崎製パンが長年培ってきた高度な製パン・製菓バイオテクノロジーが存在します。
主たる要因は、主に以下の3つの科学的アプローチに集約されます。
- 糖分による卓越した保水作用:デンプン分子の間に入り込んだ糖分(砂糖やソルビトール、トレハロースなど)が水分を強力に抱え込み、デンプンが再結晶化して固まるのを物理的に防ぎます。
- 酵素(アミラーゼ等)の活用:デンプンの構造を一部分解・調整する酵素を微量に添加することで、網目構造の柔軟性を保ち、時間が経過してもモチモチ感を失わない状態を作り出しています。
- 米粉と加工デンプンの最適ブレンド:国産上新粉の風味を生かしつつ、保水性と粘度を補う加工デンプンを精緻な比率で配合。大量生産ラインにおける急速蒸気加熱と冷却コントロールにより、品質を均一に保っています。
「薬品漬けだから固くならない」というネット上の俗説は明白な誤解であり、糖の性質と酵素反応を巧みに応用した極めて合理的な食品科学の賜物といえます。