文法学習における最大の難所であり、多くの参考書でも解説が不十分になりがちなのが、「preferの動名詞と不定詞の注意点」です。「prefer A to B」という基本骨格を学んだ直後、多くの学習者が次のような疑問を抱きます。「AやBに動詞を入れたいとき、動名詞ではなく不定詞(to do)を使ってはいけないのか?」という点です。
結論から申し上げますと、不定詞を用いること自体は文法的に可能です。しかし、そこには統語構造の急激なシフトが発生します。
もし、不定詞を用いて基本構文通りに配置しようとすると、以下の文が生成されてしまいます。
❌ I prefer to stay home to go out.(文法破綻)
英語は同一文内での機能語の重複や音の衝突(フォノロジー的違和感)を極端に嫌う言語です。文中に「to stay」と「to go」が並び、さらにその間に接続標識としての「to」が挟まると、どれが不定詞の標識でどれが前置詞なのか判別がつかなくなります。この混乱を回避するために採用されるのが、「prefer to do rather than do構文」です。
I prefer to stay home rather than (to) go out.
(私は外出するよりも、家にいたい)
この構文では、前置詞toが完全に排除され、比較の対比を示す接続詞句「rather than」が代入されます。さらに、rather thanの後ろに置かれる動詞は、先行する「to stay」との並列構造を保ちつつも、一般的には2つ目のtoが省略されて動詞の原形(ベア・インフィニティブ)が置かれます。
つまり、preferの後ろにどのような準動詞を置くかによって、従える接続詞が完全に枝分かれする設計になっています。
- 動名詞を選ぶ場合:prefer -ing to -ing(前置詞toを使用)
- 不定詞を選ぶ場合:prefer to do rather than do(rather thanを使用)
このスイッチングを正確に理解していないと、英作文やスピーキングの現場で「prefer to do to do」という致命的な文法ミスを犯すことになります。試験作成者はまさにこの構造的死角を狙い撃ちにしてきます。