福岡県北九州市から上京し、武蔵野美術大学造形学部空間演出デザイン学科へと進学した青年時代。当時の秘蔵スナップやアーカイブ写真に映る彼は、息を呑むほど端正な顔立ちをしていた。切れ長の鋭い眼光、無造作に伸ばされた黒髪、そして細身の身体から漂うアンニュイな影。現代のSNSでも「若い頃のリリー・フランキーが色気ありすぎて直視できない」「ロックミュージシャン以上のカリスマ性」と定期的に拡散され、熱い視線を集めている。
しかし、本人は決してエリート美大生としての平穏なキャンパスライフを歩んだわけではなかった。講義にはほとんど顔を出さず、夜の街を徘徊し、酒と煙草と怠惰に溺れる日々。留年を重ね、卒業までに実に5年もの歳月を費やした。何者でもなく、何者かになれる確証もない。自意識と才能を持て余した美しい青年は、ただ東京の片隅で自らの輪郭を探しあぐねていた。