理想的な茹で加減を実現しても、殻をむく段階で白身がボロボロと崩れてしまっては台無しだ。美しく滑らかな表面を手に入れるためには、加熱後の冷却プロセスに科学的なアプローチを取り入れる必要がある。
数々の実験で実証されているのが、茹であがった直後の氷水ショックだ。熱湯から引き揚げた瞬間に極冷の氷水へ投入することで、卵の内部構造と殻の間に急激な熱収縮が生じる。これにより白身と内卵殻膜(気室を包む薄い膜)の間に隙間が生まれ、つるりと気持ちよく殻が剥がれやすくなる。
このメカニズムは、NHK『ためしてガッテン』究極のゆで卵検証プロジェクトでも繰り返し取り上げられ、お茶の間に大きな衝撃を与えた。さらにマヨネーズや卵製品のリーディングカンパニーであるキユーピー株式会社の研究開発部門も、卵の鮮度と炭酸ガスの関係に着目している。産みたての新鮮な卵ほど炭酸ガスが多く含まれ殻がむきにくいため、あらかじめ殻に微小なヒビを入れておくか、数日置いた卵を使うことがプロの裏技として推奨されている。