ママチャリをはじめとする日本国内の実用自転車のほとんどには、イギリス発祥の「英式バルブ(ダンロップバルブ)」が採用されています。ロードバイクの仏式やマウンテンバイク・自動車の米式とは構造が異なるため、正しい手順を押さえておく必要があります。
手順の第一歩は、黒や透明のプラスチック製カバーである「バルブキャップ」を反時計回りに回して外すことです。このとき、キャップの下にあるギザギザした金属ナット(袋ナット)が緩んでいないか指先で確かめてください。ここが緩んでいると、空気注入中や走行中に内部の金具が飛び出し、一気にエアが抜けてしまいます。
次に、空気入れのホース先端にあるクリップレバーを広げ、バルブの金属先端部をクリップ奥のゴム穴へ垂直に奥まで押し込みます。バルブの段差にクリップの爪がカチッと掛かり、グラグラしないことを確認したらセッティング完了です。ポンプを真っ直ぐ垂直に立て、ハンドルを胸の高さまで引き上げてから、体重を乗せて一番下までしっかりとピストンを押し込みます。細かく小刻みに動かすのではなく、「大きく吸って、底まで一気に押し切る」ポンピングを数回繰り返すのが効率よくエアを充填するコツです。
作業が終わったらクリップを外し、必ずバルブキャップを元通りに締め直します。ここで「キャップを付け忘れても空気は抜けないから放置でいい」と軽視する人が少なくありません。しかし、バルブキャップの役割と重要性は、雨水や砂利、ホコリの侵入を遮断し、バルブ内部の金属腐食やゴムの摩耗を物理的に防ぐ点にあります。キャップがない状態が続くと内部弁が固着し、次回空気を入れる際に弁が開かなくなる重大なトラブルへ直結します。