アイドルファンの間で長年議論の的となってきたのが、「松井珠理奈と松井玲奈はプライベートで口を利かないほど不仲だったのではないか」という疑惑です。インターネット掲示板や週刊誌を中心に広まったこの噂の背景には、運営側が演出した対比構造と、2人の置かれた特異な環境が存在していました。
デビュー当時、松井珠理奈はわずか11歳(小学6年生)でAKB48のシングル『大声ダイヤモンド』のセンターに大抜擢され、「10年に1人の逸材」として強烈なスポットライトを浴びました。対する松井玲奈は17歳(高校2年生)で加入し、劇場の最後列から地道な努力と持ち前の憑依型パフォーマンスでファンの心を掴み、選抜常連へと駆け上がった経緯があります。
ドキュメンタリー映画『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』や当時の密着番組が記録している通り、黎明期のSKE48は連日のように激しいダンスレッスンとプレッシャーに晒されていました。年齢差が6歳あり、生活リズムも性格も趣味も正反対。珠理奈が天真爛漫なスポーツ少女タイプであったのに対し、玲奈は読書や鉄道、アニメを愛するインドア派でした。性格が対極的であったこと、そして常に「SKE48のツートップ」として比較され続けたことが、周囲に「不仲」という短絡的な印象を与える要因となったのです。
しかし、後に放送された特番対談や手記において、2人は当時の心境を明かしています。松井玲奈は「仲が悪いのではなく、お互いにグループを背負う重圧で余裕がなかった。珠理奈が倒れそうになったら自分が支えなければならないという責任感で必死だった」と振り返り、松井珠理奈もまた「玲奈ちゃんがいたからこそ、弱音を吐かずに走り続けられた」と語っています。私生活で四六時中つるむような「仲良しごっこ」ではなく、プロとして互いの領域を尊重し合っていたからこその適度な距離感が、外野からは確執と誤認されていたのが実情です。