この問題の深刻さを世界に決定づけた歴史的事例として、伝説的音楽ユニット「カーペンターズ」のカレン・カーペンターの死が挙げられる。1980年代初頭、彼女の美声と爽やかなイメージの裏で進行していた拒食症の末期症状は、最終的に心不全という形で彼女の命を奪った。当時、拒食症という疾患の概念自体が一般に広く認知されておらず、彼女の突然の訃報は全世界に巨大な衝撃を与えた。
それから四半世紀以上が過ぎた2000年代後半、フランスのモデルであるイザベル・カロが自らの衰弱しきった肉体を晒した衝撃的な啓発ポスターは、再び世界中を震撼させた。彼女は骨と皮ばかりになった姿をレンズの前に晒し、華やかなランウェイの裏に隠された病理を命がけで告発した。しかし、彼女自身もまたその数年後に30代を切る若さで命を落とすこととなる。二人の犠牲は、時代やジャンルを問わず、この病が持つ致命的な破壊力を物語っている。