中村雅俊の歌が今も響く理由|名曲の誕生秘話と歴代ランキングの真相

中村雅俊の歌が今も響く理由|名曲の誕生秘話と歴代ランキングの真相

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中村雅俊のディスコグラフィを語る上で欠かせない二大金字塔が、デビュー曲『ふれあい』と、新境地を切り拓いた『恋人も濡れる街角』です。この2曲が誕生した背景には、当時の制作陣の並々ならぬ執念と、時代が求めた必然とも呼べるドラマが存在していました。

1974年7月1日にリリースされた『ふれあい』は、日本テレビ系学園ドラマ『われら青春!』の挿入歌として世に出ました。主演の新人教師・沖田俊介役に抜擢された中村雅俊は、文学座附属演劇研究所の研究生からいきなり主役に選ばれたシンデレラボーイでした。しかし、当初この曲はレコードのB面扱い、あるいはドラマ内の単なる劇中歌に過ぎない位置づけだったと当時の制作関係者は振り返ります。作詞・山川啓介、作曲・いずみたくが手掛けた素朴で哀愁を帯びたフォーク調のメロディは、ドラマの劇中で主人公がマンドリンを爪弾きながら口ずさむシーンをきっかけに視聴者の心を鷲掴みにしました。

発売されるやいなや口コミで火がつき、オリコンシングルチャートで10週連続1位を記録。累計売上は126万枚を超えるメガヒットとなりました。高度経済成長期の熱狂が一段落し、どこか孤独や人間関係の希薄さを感じ始めていた当時の日本人に、「人はみな 一人では生きてゆけないものだから」という飾らない言葉と中村雅俊の少し掠れた温かいボーカルが真っ直ぐに突き刺さったのです。

そこから8年後の1982年、彼のパブリックイメージを鮮やかに更新したのが、松竹映画『蒲田行進曲』の主題歌であり、フジテレビ系ドラマ『恋人も濡れる街角』の主題歌にも起用された『恋人も濡れる街角』です。作詞・作曲を担当したのはサザンオールスターズの桑田佳祐。青春ドラマの熱血漢というパブリックイメージが定着していた中村雅俊が、30代を迎えて大人の色気と哀愁を漂わせるシンガーへと脱皮を図るべく、自ら桑田佳祐にアプローチしたことでこの奇跡のコラボレーションが実現しました。

レコーディング現場では、桑田佳祐独特の符割りやビート感、そして艶めかしい歌詞のニュアンスを中村雅俊が徹底的に咀嚼。横浜・本牧の情景を彷彿とさせる都会的なサウンドと、男の情けなさと色気が同居したボーカルは、それまでのフォーク路線とは一線を画す洗練されたポップスとして結実しました。結果として50万枚に迫る大ヒットを記録し、昭和の歌謡曲シーンにおいて「提供曲を完全に自らの血肉に変えた最高峰の事例」として今なお音楽関係者の間で語り草となっています。

伊藤 翔太
著者

伊藤 翔太

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。