ベンチプレス世界記録の真相!ノーギア355Kgと異次元600Kgの壁

ベンチプレス世界記録の真相!ノーギア355Kgと異次元600Kgの壁

ベンチプレス世界記録の真相!ノーギア355Kgと異次元600Kgの壁の概要と注目ポイントを徹底的にカバーしました。

ネット上のトレーニング掲示板などで頻繁に見かけるのが、「ギアを着れば誰でも数十キロから数百キロ記録が伸びるチート器具ではないのか」という誤解です。現場の指導者や競技者は口を揃えて否定します。

ベンチシャツとは、ポリエステルやケブラー素材などを何重にも強固に縫い合わせた拘束着のような競技着です。着用すると腕を前に自然に下ろすことすらできず、大の男が二人がかりで引っ張り、皮膚を鬱血させながら装着します。バーベルを胸元に降ろす過程でシャツの強烈なテンションが張り裂けんばかりに蓄積され、その反発力(弾性エネルギー)をバーベルの押し上げに利用する構造です。

しかし、物理学的な反発力を得るためには、その凄まじい圧力をコントロールする人間側の体幹、肩甲骨周りの安定性、手首・肘の強靭さが必須となります。600kgもの質量が胸に乗った場合、手首の角度がわずか数ミリ狂うだけで骨がへし折れ、胸郭にダイレクトに落下すれば即座に致死傷を負います。フルギアとは、「器具の力を借りて楽をする」のではなく、「肉体の限界を超えた破壊的な荷重に身を晒す危険なエクストリームスポーツ」なのです。

また、国際パワーリフティング連盟(IPF)のようにWADA(世界アンチ・ドーピング機構)基準の厳格な薬物検査と単層シャツのみを認めるクリーンな連盟と、プロ団体のように多層ギアや未検査レギュレーションを容認する団体とでは、同じ世界記録でも前提条件が大きく異なります。記録の優劣を論じる際は、どの団体のルール下で成し遂げられたのかを峻別して評価しなければなりません。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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