両リーグを分かつ最も象徴的な境界線は、間違いなく「指名打者制度(DH制)」の有無だ。パ・リーグが1975年に導入したこの制度は、投手が打席に立たず打撃専門の選手がラインナップに加わる仕組みであり、ゲームの構造そのものを根底から塗り替えた。
セ・リーグでは今なお投手が9番打者として打席に立つ。そこには小技や送りバント、早めの投手交代といった繊細な采配の面白さが宿る。一方でパ・リーグは、1番から9番まで途切れのない強力打線が形成されるため、投手に求められるスタミナや球威の基準が格段に跳ね上がる。150キロ台後半のストレートを連発する力投型ピッチャーがパ・リーグに多く誕生する背景には、このDH制による厳しい打ち合いの環境が少なからず影響しているのだ。