大谷龍太の歩みは、決して平坦なものではなかった。身長187センチという恵まれた体躯を持ちながら、高校卒業後は地元・岩手県内の水沢信用金庫に就職。一般企業でフルタイムの仕事をこなしながら、クラブチームでプレーを続けるという、泥臭い選択から彼のキャリアは本格化した。
「弟の活躍が刺激にならないと言えば嘘になる。だが、自分には自分の戦場がある」――周囲からの好奇の視線にさらされながらも、龍太は一歩一歩、確かな足跡を残してきた。元プロ指名候補としても名を馳せた彼は、現在社会人野球の現場においてコーチ兼選手としてチームの精神的支柱を務めている。大谷フィーバーの裏側にあるのは、過剰な露出を避けつつも互いの領域を尊重し合う、本物の「家族の真実」なのだ。