エースコックが「わかめラーメン」を世に送り出したのは1983年6月のことでした。当時、即席麺市場は激しいシェア争いの渦中にあり、後発の健康志向ラーメンとして差別化を図るためには、視聴者の脳裏に一瞬で焼き付く強烈なフックが不可欠でした。
そこで白羽の矢が立ったのが、当時ホームドラマの名手として絶大な人気を誇っていた俳優の石立鉄男さんです。チリチリのアフロパーマにトレンチコートという異様な出で立ちで登場し、わかめを擬人化して問いかける「お前はどこのわかめじゃ?」というセリフは、広告代理店のコピーライターによる緻密な計算と、石立さん特有の哀愁を帯びたコミカルな語り口が合致して生まれました。
共演した愛らしい子役とのテンポの良い掛け合い(「エースコックの、わかめラーメン!」)も相まって、発売直後から爆発的なヒットを記録。単なる商品告知の枠を超え、学校の教室や職場で誰もが真似をする流行語へと昇華していきました。