お焚き上げと非常によく混同されるのが、毎年1月中旬の小正月に行われる「どんど焼き(左義長・どんと祭り)」です。地域コミュニティの広場や神社の境内で行われるため同一視されがちですが、その目的・対象物・時期は明確に区別されています。
どんど焼きは、お正月に各家庭へ歳神様(年神様)をお迎えするために飾った「門松」「しめ縄」「破魔矢」などを持ち寄り、一箇所で燃やす民俗年中行事です。その煙に乗せて歳神様をお見送りし、火にあたることで1年間の無病息災や五穀豊穣、家内安全を地域全体で祈願します。
一方、お焚き上げは通年行われる個別の宗教儀礼です。故人の遺品、人形、アルバム、仏具など、個人的な情念や愛着が深く結びついた品物を供養します。
近年、自治体や神社のどんど焼き会場において「人形や遺品、写真などを無断で投入してトラブルになるケース」が頻発しています。どんど焼きの火は地域の皆が煙を浴び、その火で餅や団子を焼いて食べる神聖な共有の場です。そこに個人的な念のこもった品や、プラスチック混じりの人形を持ち込むことはマナー違反であり、運営側からも固く禁じられています。年中行事と個別供養の境界線を正しく認識することが肝要です。