本作を傑作たらしめている最大の要因は、間違いなく実力派キャスト陣による圧巻の演技合戦にある。お人好しな母校の神野先生を演じた大泉洋の存在感は、観客の警戒心を解く完璧な「免罪符」として機能する。彼の親しみやすいキャラクターが画面に漂うことで、観客は知らず知らずのうちに物語のペースへ引き込まれていく。
一方で、謎の失踪を遂げる実業家の木村を演じた堺雅人のミステリアスな佇まい、そして怪しげな探偵・北沢に扮した佐々木蔵之介のスリリングな立ち回り。この3人の関係性が二転三転するプロセスこそが、極上のエンターテインメントだ。誰が味方で誰が敵なのか。彼らが交わすセリフの端々に隠された嘘と真実を、実力派俳優たちが絶妙な熱量で演じ切っている。