相次ぐ価格改定に対して、ネット上では「便乗値上げではないか」「飲料メーカーは最高益を出して儲かっているのではないか」という批判的な言説が散見されます。しかし、上場各社の決算短信や原価構成の推移を詳細に読み解くと、実態は全く異なります。
第一の誤解は、「製品価格の上昇分=メーカーの純利益」という思い込みです。実際には、売上高が名目上伸びていても、原材料・包装資材・電力・輸送運賃の上昇ペースがそれを上回っており、国内飲料事業の営業利益率はむしろ防衛戦を強いられています。自販機オペレーター企業にとっても、24時間稼働し続ける自動販売機の電気代高騰や補充ドライバーの人手不足は極めて重く、値上げ分の大半は維持管理費に相殺されているのが実態です。
第二の盲点は、「なぜ500mlボトルと2Lボトルの価格差がこれほど歪んでいるのか」という点です。スーパーに行くと、500mlペットボトル価格が120円であるのに対し、容量4倍の2Lボトルが198円前後で売られているケースが多々あります。消費者の目からは不条理に映りますが、飲料ビジネスにおけるコストの大半は「中身の水や茶」ではなく、「容器代(PETボトル・キャップ・ラベル)」「充填・殺菌工程」「輸送にかかる物流費」です。500mlを4本運ぶコストと2Lを1本運ぶコストを比較した場合、後者の方が圧倒的に物流効率が高いため、容量あたりの単価逆転が発生します。