そもそも、どのようにしてチワワが警察犬の選考に参加できたのでしょうか。その背景には、警察犬制度における「直轄」と「嘱託」の明確な仕組みの違いが存在します。
警察犬は大きく2つに分かれます。警察本部が直接購入・飼育し、警察官である鑑識課員などがハンドラーを務める「直轄警察犬」と、一般の民間人が飼育・訓練し、警察からの要請に応じて現場へ出動する「嘱託警察犬」です。
日本警察犬協会が指定する代表的な7犬種(ジャーマン・シェパード、ドーベルマン、エアデール・テリア、コリー、ボクサー、ラブラドール・レトリバー、ゴールデン・レトリバー)にチワワは含まれていません。しかし、民間から優秀な使役犬を登用する嘱託警察犬制度において、奈良県警は犬種の門戸を広く開放していました。
審査会では「小型犬だから」という甘い特別基準は一切設けられず、大型犬とまったく同一の採点基準が適用されました。モモの合格劇は、制度の柔軟性と、大型犬の基準を跳び越えた個体の卓越した能力が合致した結果だったのです。