余った花火をそのままゴミ箱へ放り込む行為は、家庭内だけでなく社会インフラを脅かす重大な事故に直結します。手持ち花火や打ち上げ花火に使われている黒色火薬や煙火薬は、酸化剤(硝酸カリウムや過塩素酸カリウムなど)と可燃物(木炭や硫黄など)が緻密に配合されており、わずかな摩擦熱や静電気、衝撃であっても一瞬で着火温度に達する性質を秘めています。
特に危険が潜むのは、家庭から排出された後の「ごみ収集車(パッカー車)」の内部です。東京消防庁をはじめとする全国消防本部の統計によると、清掃車両の火災事故は年間数百件規模で推移しており、夏場から秋口にかけてはスプレー缶やリチウムイオン電池と並び、花火ゴミの不適切な排出が主要因として記録されています。収集車の回転板でごみ袋が強力に押し潰された際、花火の先端に残る火薬同士の摩擦や、同梱された金属類との接触火花によって火がつき、紙くずやプラスチック包装に引火して瞬く間に火災へと発展します。
さらに見過ごせないのが、家庭のゴミ箱内部における花火ゴミの自然発火防止という観点です。「一度火をつけて途中で消えた花火」を少量の水に潜らせただけでプラスチック製ゴミ箱に捨てた結果、内部に残っていた火種が時間をかけて再燃し、深夜に住宅火災に至った事例も報告されています。火薬を完全に分解・不活性化させない限り、花火は潜在的な発火装置であり続けるという認識が不可欠です。