結論から申し上げますと、特定の成分を含むヨーグルトを適切に摂取した場合、血中LDLコレステロールの低下をサポートする作用は医学的・生化学的に確認されています。ただし、それは「どんなヨーグルトでも食べれば下がる」という魔法のような話ではありません。数値に確かな変化をもたらす製品には、明確な2つの生化学的ルートが存在します。
第1のルートは、植物性ステロール(フィトステロール)による小腸での吸収阻害です。植物性ステロールはコレステロールと化学構造が酷似しているため、腸管内でコレステロールが吸収されるための複合体(ミセル)の座席を先回りして奪い取ります。その結果、食事由来および胆汁由来のコレステロールが体内に再吸収されず、便とともに体外へ排出されます。厚生労働省や諸外国の公的機関もこの作用機序を認めており、臨床試験でも確実なLDL低下作用が報告されています。
第2のルートが、プロバイオティクス乳酸菌(ガセリ菌SP株など)の代謝作用です。肝臓で合成される「胆汁酸」はコレステロールを原料として作られ、腸管から再び肝臓へ回収(腸肝循環)されます。特定の乳酸菌は腸内でこの胆汁酸を吸着して便と一緒に排泄させたり、胆汁酸を脱抱合して再吸収されにくくする働きを持っています。失われた胆汁酸を補うため、肝臓は血中の悪玉コレステロールを取り込んで新たな胆汁酸を合成するため、結果として血中のLDLコレステロール値が低下するというサイクルが生まれます。
ネット上には「ヨーグルトを食べただけで翌月の健診で正常値に戻った」という極端な噂が散見されますが、食品による降下幅は一般に数パーセントから十数パーセント程度です。医薬品であるスタチン製剤のような劇的な半減効果を期待するのではなく、あくまで生活習慣の是正を底上げするツールとして捉える必要があります。